第4回「星空フォトコンテスト 2023 〜それぞれの宙を見上げて〜」入賞作発表

ビクセンの取り組み・コミュニティ

2024.02.16

みなさまからご応募いただいた643点の作品の中から入賞作品を選出いたしました。
厳正な審査会を経て、グランプリと各賞が決定いたしました。

ビクセン主催

第4回「星空フォトコンテスト 2023 〜それぞれの宙を見上げて〜」

審査員の紹介

大西 浩次

博士(理学)。日本星景写真協会理事、国際天文学連合(IAU)会員、日本天文学会、日本天文教育普及研究会ほか。第4回田淵行男賞入賞。研究分野は重力レンズと系外惑星探査。地球と宇宙と人のつながりをテーマに星景写真を撮影。毎日小学生新聞「ガリレオ博士の天体観測図鑑」隔週土曜連載中。

北山 輝泰

プロカメラマン。日本大学芸術学部写真学科卒業。天体望遠鏡メーカーで営業として勤務後、星景写真家として独立。天文雑誌のライターをしながら、全国で写真講師の仕事を行う。星景写真を始めとした夜の被写体の撮影について、座学・実習を通し学べる「ナイトフォトツアーズ」を運営中。

大西浩次氏による総評  夜空を見上げればそこに宙(そら)があります。宙(そら)を見上げる時の「想い」を伝えるコンテストとして、ビクセン主催の「星空フォトコンテスト2023」は4回目を迎えました。フォトコンテストですから、まずは、ピントや構図などの最小限の技術的な点はクリアーする必要があります。選者としては、これらに加えて、コンテストのテーマである「宙(そら)への想い」が伝わってくることを最優先として選びました。今回から、応募作品を各部門3点までと限定されたため、総応募数は減少したのですが、レベル自身は例年と同じく高かったと思います。特に印象的なのは、応募総数も多かったのですが、ワンシャッター部門での選考の難しさでした。この中で入選された作品は、いずれも「宙(そら)と作者」が、まさに、同時刻に同一場所で出会った=一期一会のタイミングで撮影された作品でした。一方で、昨年から新設されたコンポジット部門は、昨年ほど驚くような作品が少なかったように思います。コンポジット部門の作品を見ながら、小説におけるノンフェクション(事実をもとに作られた作品)とフェクション(想像的をもとに作られた作品)との対応が、今回のフォトコンテストにどのように対応するか考え込んでしまいました。「それぞれの想いを伝える」手法として、ノンフェクション的な作品とともに、ある意味、フェクション的な作品もあるのではないかと思います。ワンシャッター部門の作品は、まさに、ノンフェクション的な写真ですが、コンポジット部門の場合、ノンフェクションからフェクションまで、多彩な作品の可能性を持っていると思います。昨年のグランプリ作品などを始め、このポテンシャルを生かした新しい作品を期待します。一方、動画部門は今年も良い作品が集まりました。動画にしか表現できない面白さとは何かを考えてゆくと、撮影現場での音だとかいろんな可能性が考えられます。今後、ますます発展してゆく分野になると思われます。また、アンダー18部門もレベルが高く、将来を非常に期待します。最後に、「それぞれの宙(そら)を見上げて」あなたは、何を伝えたいでしょう。こんな思いを稽えながら、新たな作品創りに踏み出していただきたいと思います。
北山輝泰氏による総評  今回も多数の力作が揃い見応えのあるフォトコンテストとなりました。今回より応募点数の制限を設けさせていただいたこともあり、総数は以前より減りましたが、その分厳選された作品が多かった印象です。私が審査させていただく上で意識していることですが、「それぞれの宙を見上げて」というフォトコンのテーマが表しているように、皆さんが見上げた星空の美しさや心動かされた様子が作品から伝わるものを中心に選ばせていただいています。星空というのは満天の星だけでなく、雲間に見えた星も、薄明の中にわずかに見える星など様々です。それぞれにシャッターチャンスがあり、みなさんが見た星空の数だけ人の心を動かす作品が生まれる可能性が存在します。賞を受賞された作品は綿密に計算されたものから衝動的に撮られたであろうものまで様々ですが、どれもが感動する素晴らしい作品です。改めまして受賞おめでとうございます。
 星空は誰もが楽しめる共有の財産ですが、今回も性別年齢問わず幅広い世代の方々にご応募いただきました。さらに撮影機材の進歩の影響か、スマートフォンで撮影されたものからドローンで撮影されたものなど、より気軽に自由な発想で撮られた作品が少しずつ増えてきているのも印象深いです。そして日々進化する画像処理技術も駆使することで、今まで表現できなかった星空もレタッチで作り出せるようになってきました。私は自分の中でルールを作り星景写真を楽しんでいますが、皆さんも自分らしい星空作品はどのようなものなのかを意識しながら、撮影とレタッチを楽しんでいただければ嬉しいです。
 最後に今回のフォトコンテストにご応募いただいた全ての皆様、本当にありがとうございました。また次回みなさんの力作を拝見できるのを楽しみにしております。

※画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。
※写真の情報は応募者にご記入いただいた内容を元に記載しています。

グランプリ「夜明けのほほえみ」

お名前
石塚 佳子さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年3月29日
撮影場所
北海道豊頃町ハルニレの木
機種名
Nikon Z9
レンズ
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8S
大西浩次氏によるコメント 夜明けの薄明の中の「ハルニレの木」に架かる細い月と金星を、絶妙なタイミングで撮影しています。春の明け方は、太陽の通り道(黄道)がもっとも低い時期であるため、春の夜明けの月は輝いている部分が地平に対して垂直に立って昇ってきます。ところで、月の通り道(白道)は黄道と約5度傾き、その交差点が18.6年周期で移動しています。撮影時は、まさに、白道が黄道から一番南側に離れている(水平線に近い傾斜の)時期でした。そのようなこともあり、黄道の近くの金星に対して、月が非常に離れた位置を通過してゆく瞬間でした。ちなみに、撮影の2022年3月には、黄道沿いに金星、土星、火星が集まっており、写真を見ると金星の斜め右下に土星、火星を見つけることができます。きっと、これら3つの惑星をうまく枝の隙間に入れようと苦労したのでしょう。ところで、この作品の魅力は、「ハルニレの木」の周囲の雪だけが溶けている様子や朝焼けの赤みが強く水蒸気の多い様子など、春を迎える北海道の大気が伝わってくるところです。天体の並び、空の色、撮影のタイミングが揃ったグランプリにふさわしい作品です。
北山輝泰氏によるコメント 北海道の美しい景観の中でも春夏秋冬問わず多くのカメラマンに愛されている人気のスポットが、豊頃町にある「ハルニレの木」でしょう。広々とした草原に凛々しく立つ姿が美しいだけでなく、二本の木が肩を寄せ合い一本の木として伸びている様子は、まるで仲良しな夫婦のようにも見えます。
ハルニレの木を題材に撮られた写真は今まで多く拝見してきましたが、今回ご応募いただいたこちらの写真のように、画面いっぱいを埋め尽くすような構図はあまり見たことなく目を惹きました。黎明の時間は刻一刻と明るさが変わり、露出決めが非常に難しい時間帯となりますが、少し暗めのトーンで木のシルエットを強調して撮影したのも効果的です。そして木々の隙間にひっそりと収まっている月、金星、土星、火星を見つけると、作者の狙いやこだわりが分かり、思わず笑みがこぼれてしまいました。
薄明の時間に撮影する細い月や惑星の接近を捉えることは、星景写真のシャッターチャンスの中でもとてもワクワクする楽しい瞬間です。そして2022年の春は、多くの惑星が同じ空に集まるという稀な年で、私も色々な場所を訪れたなと懐かしい気持ちになりました。
美しい宙(そら)を目の前に楽しそうにシャッターを切っていた作者の様子がとてもよく伝わりましたので、こちらの作品をグランプリとさせていただきました。

ワンシャッター部門
最優秀賞「道標」

お名前
松尾 拓哉さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年3月6日
撮影場所
大分県佐伯市鶴御埼灯台
機種名
SONY α7III
レンズ
SONY FE 14mm F1.8 GM
絞り
1.8
シャッタースピード
15
ISO感度
5000
北山輝泰氏によるコメント 星景写真の撮影では邪魔な存在と思われがちな雲ですが、雲があるからこそ撮影できる星景写真があるのもまた事実です。こちらの作品は天の川と灯台の光がテーマですが、星や灯台の光が静的なのに対し、頭上を通過している雲の早い動きがとても対照的で、写真にも関わらず映像のワンシーンを見ているかのように感じます。雲間にチラッと写る金星もとても際立っており、ベストなタイミングでシャッターを切っています。全天を覆う雲には勘弁ですが、多少の雲が出ている時にも諦めず撮影を続けることで、思いもよらなかった作品が生まれることもあります。ワンシャッターならではの機動力を活かし瞬間を逃さず撮影したこちらの作品に部門の最優秀賞を贈りたいと思います。

コンポジット部門
最優秀賞「ハクサンイチゲの咲く夜に」

お名前
黒谷 涼さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2023年6月18日
撮影場所
山形県遊佐町鳥海山
機種名
Nikon D850
レンズ
SIGMA 14-24mm F2.8 DG HSM
絞り
3.2
シャッタースピード
240
ISO感度
1600
北山輝泰氏によるコメント 天の川は星景写真の最も代表的な被写体ですが、円周魚眼のような特殊なレンズを使わない限り、地上から見える領域のうち一部分しか撮影することはできません。そこで役に立つのがパノラマ合成の技法ですが、単に合成のテクニックだけでなく、撮影するタイミングを綿密に計算し、かつどのような割合で地上景を撮影していくとイメージ通りの作品になるかなど、事前の準備がとても重要になります。こちらの作品は、天の川を強調するレタッチ処理が美しいだけでなく、ハクサンイチゲから鳥海山へと続く地上形の切り取り方がとても美しく、作品の魅力が随所に散りばめられておりとても感動いたしました。これこそコンポジットでしか表現できない星景写真の世界と言えるでしょう。

アンダー18部門
最優秀賞「月を追いかけて」

お名前
香取 正義さん
部門
アンダー18
撮影年月日
2023年2月2日
撮影場所
東京都羽田空港
機種名
Canon EOSR
レンズ
SIGMA 150-600mm
大西浩次氏によるコメント 夕方の空に昇った月(月齢11)と、その前を横切る夕日を浴びて赤く輝く飛行機。月と飛行機とのバランスが大変良く、撮影者の「飛行機への想いと宙(そら)への想い」がうまく表現されています。月と飛行機が共に右上に駆け上る構図も魅力的です。羽田空港での撮影ですが、撮影の場所、時間帯、そしてタイミングのすべて揃った写真であり、アンダー18部門でなくとも輝く作品でした。使用しているレンズから考えると結構トリミングしたと思われます。そのトリミングの段階での構図構成も良かったと思います。

動画部門
最優秀賞「星の呼吸」

お名前
與座 アンドゥルさん
部門
動画
撮影年月日
2022年11月8日
撮影場所
沖縄県国頭村奥漁港
機種名
SONY α7RIII
レンズ
SONY 16-35mm GM
絞り
2.8
シャッタースピード
15
ISO感度
4000
大西浩次氏によるコメント 世界遺産に登録された、沖縄県北部のやんばるの森と海で撮影された作品です。夕日から宵、深夜、明け方の光景を音楽と環境音を組み合わせて実に効果的に見せています。場面転換の仕方、音と音楽の変化など、非常に工夫されており、やんばるの森に行きたくなるような作品です。一方で、夕暮れの三日月の場面が夜明けの月であったり、最後の夜明けの場面が始まりの場面に比べると少し弱く、ラストにもう1つ工夫があると、更に印象深くなったと思われます。今回の環境音(虫の音など)が実際に撮影中に録音されたものであるか分かりませんが、魅力として効果音の使い方、思わず、撮影中の音を聞きたいと思わせる新しい気付きを与えてくれる作品です。

優秀賞「明けの明星」

お名前
松本 一樹さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2023年9月17日
撮影場所
北海道上川町浮島湿原
絞り
1.8
シャッタースピード
15
ISO感度
4000
大西浩次氏によるコメント 北海道の浮島湿原(北海道上川郡上川町上越)の静謐な湿原を舞台に、夜明けを告げる金星(明けの明星)と湖面に映る金星がシンメトリックに構成されている印象深い作品です。金星の2つの輝きを中心に、背景は水墨画のような微妙な濃淡で構成されています。この宙(そら)と地上の明るさのバランスを実に丁寧に調節しているのでしょう、手前のアカエゾマツの木々のバランス、遠方の森林のようす、湖面の周りを取り巻く霧、明けの明星の下方の薄明開始直後の淡い光、更に、金星、かに座(M44)からふたご座方向に伸びる秋の黄道光が薄い雲越しに見えている様子など、美しい地球の光景とその上に広がる星たちを実に素晴らしく捉えています。作者の地球から見上げる星たちへの思いが手に取るようにわかり、個人的には最も選者の感性に訴えてくる作品でした。

優秀賞「一瞬の晴れ間」

お名前
高比良 健さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2020年7月19日
撮影場所
長野県燕岳直下
機種名
Canon EOS 5D Mark IV
レンズ
Canon EF24-70mm
絞り
3.2
シャッタースピード
60
ISO感度
3200
北山輝泰氏によるコメント 2020年に話題となったネオワイズ彗星を捉えたものです。燕岳稜線の荒々しい風景も印象的ですが、雲間から現れた巨大彗星というインパクトがこの作品の魅力の全てを物語っています。雲が多く湧く中で沈む彗星を撮影するという緊張感ある中での撮影だったと思いますが、ポラリエUを使って追尾撮影し彗星のディテールをしっかり炙り出そうとした作者の努力に感動いたしました。

優秀賞「独り占めの宇宙」

お名前
岩﨑 暁生さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年10月1日
撮影場所
和歌山県白浜町千畳敷
機種名
Nikon Z7
レンズ
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8S
絞り
4
シャッタースピード
20
ISO感度
1250
北山輝泰氏によるコメント 天の川と沈む月で浮かび上がるムーンロードの共演が印象的な作品です。構図内の地上景色の割合を多くしたことで、星空だけでなく逆光で照らされる千畳敷の美しさがよく伝わっています。構図の中にあえて人を配置し、かつ液晶モニターが点灯している瞬間を狙って撮影していることで、撮影仲間と星景撮影を楽しんでいる様子もよく伝わりました。

優秀賞「樹海への導き」

お名前
坪井 智洋さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年2月26日
撮影場所
北海道中山峠
機種名
SONY α9
レンズ
SONY FE 24-105mm F4 G
絞り
4
シャッタースピード
10
ISO感度
4000
大西浩次氏によるコメント 夜明け前の月(月齢24.5)の光が針葉樹の森を照らしています。広大な針葉樹の森の広がりは、北海道ならではの光景です。月の周りには夏の天の川の星たちが輝いています。星たちの輝きを圧倒する月明かりで照らされた地上光景、このような写真では、月の光っている部分と暗い部分(地球照)の明るさのバランスが取れている状況で、地上の地上の光景を写し出すことは非常に難しく、絶妙なタイミングが成せる作品です。星空ではなくこの地球を写そうとした作者の想いが伝わってきます。

優秀賞「赤い夜空」

お名前
小柳 祐介さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年11月21日
撮影場所
アイスランド
スナイフェルス半島
機種名
Canon EOS R5
レンズ
SIGMA 14mm F1.8 DG HSM ART
絞り
1.8
シャッタースピード
6
ISO感度
3200
北山輝泰氏によるコメント オーロラは誰もが一度は撮影したいと憧れる被写体の一つです。私もカナダやアラスカなどにオーロラを撮影しに出かけたことはありますが、自分が理想とする風景とオーロラとを両立させることの難しさにいつも悩んでいます。こちらの作品は、頭上から降り注ぐオーロラの光を縦構図でダイナミックに切り取っており迫力がありますが、地上景色の青々とした様子も同時に映すことで、自然豊かなアイスランドで見上げたオーロラというテーマを的確に表しています。木星が構図の端ぎりぎりでもう少し余白を意識して撮影していただけると良かったかなと思います。

優秀賞「Conjunction」

お名前
星ノ 観察屋さん
部門
アンダー18
撮影年月日
2023年2月28日
撮影場所
新潟県村上市野潟海水浴場
機種名
Canon EOS Kiss X4
レンズ
Canon EF-S 18-55 f/3.5-5.6 IS
絞り
4
シャッタースピード
15
ISO感度
3200
大西浩次氏によるコメント 昨年、2023年2月末から3月にかけて、夕方の西の空で金星と木星が大接近したときの様子を印象深く捉えています。日本海に面した海岸線から、沈みゆく金星と木星の接近と波間に反映する2つの光を同時に写し込んでいます。この写真の魅力は、茶色の砂浜、木星と金星の光が反映する水辺、黒黒とした岩場、白波立つ海と鉄色(くすんだ青緑)の背景の海、深い青色の空、白い雲。これらの色表現は、この画面の上部に輝く明るい月のなせる技です。14歳の若い作者が捉えた星空の魅力に賞を出したいと思いました。

優秀賞「星の行方」

お名前
井上 憲吾さん
部門
動画
撮影年月日
2023年1月10日
撮影場所
北海道、道東、大雪山、阿寒、知床
機種名
Nikon Z7II、Z8
レンズ
NIKKOR Z20mm、Z14-24mm、Z24-70mm
北山輝泰氏によるコメント 北海道の雄大な景色と美しく輝く星空がギュッと詰まった素晴らしいタイムラプスです。満天の星だけでなく薄明の時間帯から星空へと空模様が変化していくシーンや、月明かりでできる影をテーマにしたものなど、視聴者を飽きさせないような動画の構成も見事だと思います。それだけ時間をかけて丁寧に撮影してきたということですから、作者の方のこれまでの苦労にも拍手を送りたいと思います。

優秀賞「雪の惑星」

お名前
大久保 奈央さん
部門
動画
撮影年月日
2022年3月2日
撮影場所
青森県青森市八甲田山
機種名
SONY α7RII、α7RIV、α7S
レンズ
SONY SEL24F14GM、 SIGMA 14mmF1.8 DG HSM、LAOWA 15mm F2
絞り
1.4-8
シャッタースピード
10-15
ISO感度
1600-6400
大西浩次氏によるコメント 雪はすべてのものを覆い非常に抽象的な光景を作ってくれます。八甲田山で撮影された映像は非常に美しく、低アングルから展開する様子などは、惚れぼれしてしまいます。特に月夜の光景は大変美しく、月のハローの変化の様子など、動画でないとできない表現がたくさんあります。一方、少し残念であったのは、天の川の表現です。月夜の表現と同じようにもう少しコントラストを抑え気味で、(心の?)目で見えるような印象の天の川であればよかったと思います。さらに、物語のラストがうまく着地できていれば、より印象的な作品になるだろうと思いました。

入選「青い時間」

お名前
鵜飼 康弘さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2023年5月13日
撮影場所
北海道虻田郡京極町脇方 望羊の丘
機種名
SONY α7III
レンズ
SIGMA 20mm F1.4 DG DN
絞り
1.8
シャッタースピード
10
ISO感度
1000
大西浩次氏によるコメント 薄明開始前の5月の星空は、さそり座が少し傾き、天の川が南に立つように見えている、そんな時間の星空をうまいタイミングで捉えた作品です。この画面の左外には下弦過ぎの明るい月が照っています。この月明かりが空を青く染め、地上の光景に光と色を入れているのです。撮影地の望羊の丘から、谷を越え、喜茂別町越しに尻別岳が見えています。この山頂付近にさそり座の尾部が隠されています。まさに、北海道ならではの低いさそり座の光景です。谷間の霧を月が照らし幻想的な光景を作る、まさにこのタイミングの光景をしっかりと捉えた作品です。

入選「ふたりの明日」

お名前
千葉 康生さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2023年5月15日
撮影場所
北海道比布町ぴっぷスキー場
機種名
iPhone12mini
大西浩次氏によるコメント 星空を見に行ったドライブ時の記念の1枚でしょうか。5月末の深夜、車の中から出ようとしたら、外が寒いので「はんてん」を羽織ったのでしょう。まだ肌寒い5月の北海道の夜なのに、いつの間にか、さそり座が南中して夏の星空となっています。二人並んで記念撮影というのに、背中合わせで別の方向を向いている・・・物語の中のようなワンショットです。コンテストでは選び難い携帯での撮影ですが、この物語性に惹かれて選びました。

入選「Goodbye Summer」

お名前
石川 了輔さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2023年8月25日
撮影場所
茨城県大洗町大洗サンビーチ
機種名
Canon EOS 5D Mark IV
レンズ
TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD
絞り
3.2
シャッタースピード
10
ISO感度
5000
北山輝泰氏によるコメント 夏の夜明けに見られる薄明色の空と冬の星座の共演を撮影したものですが、リフレクションの星空が際立つように二分割構図で撮影している点がとても印象的です。空は秋冬の訪れを感じ少し寒々しい感じがしますが、写っている人は半袖にサンダルと対照的な点もユニークです。

入選「秋の北アルプス」

お名前
東條 恵亮さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2022年10月28日
撮影場所
長野県燕岳
機種名
SONY α7Ⅱ
レンズ
SONY FE14mm F1.8 GM
絞り
3.2
シャッタースピード
60
ISO感度
3200
北山輝泰氏によるコメント 冬の天の川の濃さもさることながら、星雲やバーナードループの広がりも見事で、撮影からレタッチまでの技術力の高さを感じます。このロケーションに行くまでの行程や労力も考えると、なかなか真似できる作品ではありません。

入選「遺跡の夜」

お名前
森 幸絵さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2023年8月12日
撮影場所
石川県鳳珠郡真脇遺跡
機種名
Nikon Z7II
レンズ
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
絞り
2.8
ISO感度
6400
大西浩次氏によるコメント 真脇遺跡は、令和6年能登半島地震(2024年1月1日)で大きな被害のでた奥能登エリアの能登町にあります。縄文時代の約4000年間も人々が住み続けて繁栄した集落遺跡です。この中の巨大な柱の列「環状木柱列」の上に広がる宙(そら)を表現した作品です。撮影地は、観光施設になっているためでしょうか、街灯の影響もあるのでしょう。コンポジットの手法によって、初めて広がる天の川が表現できたのでしょう。撮影はペルセウス流星群のピーク直前です。色鮮やかな大きな流星も合成していますが、流星の発光部が無いので、かえって不自然になってしまいました。コンポジット部門は、人に想いを伝える手法としてコンポジットを使用しているので、無理に流星をコンポジットしない方が良い作品になったのではと思います。

入選「私たちの街の上には」

お名前
山岸 貴廣さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2023年8月26日
撮影場所
福島県福島市吾妻小富士
機種名
Nikon Z7
レンズ
NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S
北山輝泰氏によるコメント 黄道光と冬の天の川のクロスを一枚の写真で見事に表現した作品です。パノラマ合成や加算平均合成など、画像処理にも時間をかけて丁寧に一枚を作り上げようとする作者の意気込みも素晴らしいと思います。

入選「天地一指」

お名前
高橋 怜史さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2023年6月17日
撮影場所
宮城県角田市
機種名
Sony α7Ⅳ
レンズ
Sony FE24mm F1.4GM
絞り
2
シャッタースピード
13
ISO感度
2000
大西浩次氏によるコメント 梅雨時の6月に乱舞するホタルと天の川を非常に印象的にまとめた作品です。草原の上の多くはヒメボタルです。手前と中間、奥とヒメボタルが作る地上の光が非常に立体的です。背景の天の川に関しては、残念ながら、湿気の多い場所なので、光害の影響がでたのでしょう、ちょっと色が破綻してシアンが強くでています。この欠点をしても、地上の光景の立体感が非常にうまく、好作品です。

入選「Rise」

お名前
府中 由惺さん
部門
アンダー18
撮影年月日
2022年12月25日
撮影場所
静岡県南伊豆町逢ヶ浜
機種名
Canon EOS RP
レンズ
SAMYANG 14mm F2.8 ED AS IF UMC
絞り
2.8
シャッタースピード
25
ISO感度
8000
北山輝泰氏によるコメント 冬の撮影の定番構図と言える冬のダイヤモンドと天の川ですが、その見事な星の量と、荒々しい岩壁や奇岩との対比に感動いたしました。ソフトフィルターを用いたことで一等星や惑星の輝きもより強調されて迫力が増しています。

入選「星・月・夜 に移ろう」

お名前
蒲澤 利行さん
部門
動画
撮影年月日
2022年8月22日
撮影場所
岩手県八幡平市八幡沼 他
機種名
Canon EOS5D MarkⅢ
レンズ
TAMRON SP 15-30mm
絞り
2.8-
シャッタースピード
8-
ISO感度
3200-
大西浩次氏によるコメント 宮澤賢治の「星めぐりの歌」に合わせて、前半は星空を非常にゆっくりとしたテンポで映し出していますが、雷の画像の後、後半は、前景のひまわりや彼岸花にピントを合わせた星空や月虹、八幡沼に反映する夜明けから日の出まで、それぞれのカットは見事な映像が続く美しい作品に仕上がっています。ただ、残念な点として、個々の画像の関連の意味がわかりにくく、強いイメージを残せなかったことです。

入選「青の煌めき」

お名前
白山 健悦さん
部門
動画
撮影年月日
2023年6月18日
撮影場所
青森県弘前市岩木山山頂
機種名
SONY α7RII、SONY α7S II
レンズ
LAOWA 15mmF2、SAMYANG 12mm F2.8 ED AS NCS FISH-EYE、SONY FE
絞り
2
シャッタースピード
10
ISO感度
12800
北山輝泰氏によるコメント タイトルにある通り、空の青さが際立つカットを中心に構成されていますが、撮影シーンも様々でかつモーションタイムラプスの技法もうまく取り入れて魅力的な作品に仕上げています。終わり方にもう少し捻りがあるとよりいいなと感じました。

第4回「星空フォトコンテスト2023~それぞれの宙を見上げて~ 入賞作品解説動画配信中!

ビクセン公式YouTubeにて、審査員の大西浩次さん・北山輝泰さんに入賞作品全23作品をご解説いただいた動画を配信しています。

作品の魅力や選考のポイントなど、今後の作品作りに役立つ情報が盛りだくさん。
さらに撮影技術をレベルアップしたい方はもちろん、これから星空写真を始める方もぜひご覧ください。

ご視聴はこちらから

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