第3回「星空フォトコンテスト 〜それぞれの宙を見上げて〜」入賞作発表

ビクセンの取り組み・コミュニティ

2023.02.21

みなさまからご応募いただいた約1,800点の作品の中から入賞作品を選出いたしました。
厳正な審査会を経て、グランプリと各賞が決定いたしました。

ビクセン主催

第3回「星空フォトコンテスト 〜それぞれの宙を見上げて〜」

審査員の紹介

大西 浩次

博士(理学)。日本星景写真協会理事、国際天文学連合(IAU)会員、日本天文学会、日本天文教育普及研究会ほか。第4回淵行男賞入賞。研究分野は重力レンズと系外惑星探査。地球と宇宙と人のつながりをテーマに星景写真を撮影。毎日小学生新聞「ガリレオ博士の天体観測図鑑」隔週土曜連載中。

北山 輝泰

プロカメラマン。日本大学芸術学部写真学科卒業。天体望遠鏡メーカーで営業として勤務後、星景写真家として独立。天文雑誌のライターをしながら、全国で写真講師の仕事を行う。星景写真を始めとした夜の被写体の撮影について、座学・実習を通し学べる「ナイトフォトツアーズ」を運営中。

大西浩次氏による総評

 宇宙を見上げたる時、あなたは何を想うだろう。壮大な宇宙の広がりと小さな自分の存在、あるいは、愛する人や友との楽しい時間が永遠に続いてほしい、それとも、遠い昔の思い出が鮮やかに蘇る、あるいは、COVID-19によって物理的にも心理的にも拘束されるような閉塞感と星空の下での開放感、……こんな、いやもっといろんな思いがきっとあるでしょう。ビクセン主催の第3回「星空フォトコンテスト 〜それぞれの宙を見上げて〜」、応募のジャンルが4分野になったためもあるのでしょうが、今回の総応募作品数は約1800作品の応募がありました。審査に当たり、「どんな思いで見上げたのであろう」と思いながら、3週間を掛けて全ての写真や動画の1次審査を行いました。この段階で、まだ、1000以上の作品がありました。次に、コンテストなので、素晴らしい想いの作品の中にも、ピンボケや構図の問題、画像処理の過多など、技術的に問題がある作品は落とさざるを得ませんでした。また、同じテーマや同じ対象の作品は、競争になりました。このような段階を経ることで、分野ごとに応募数の約1割まで絞りました。それでも総数は400点余りです。そこから、想いを考慮しながら、類似作品や複数枚応募して頂いた方の作品を大幅に絞る(受賞作品は一人1枚のみ)必要がありました。このような、事前の審査を経て、2人の審査員が選んだそれぞれ約100作品(重複を除くと約140作品)を実際にテーブルに並べて、最終審査に挑みました。作品から感じられる想い・技量・完成度を1日掛けて議論して、やっとグランプリから入賞まで、全24作品が選ばれました。
 今回の応募の特徴として、COVID-19の制限が緩和してきたためでしょうか、撮影地や撮影日時の幅も増え、過去、最大の応募数のため、最もハイレベルな争いとなりました。特に、若い世代の応募が増え、入選された作品以外にも非常に意欲的な作品が多数ありました。また、ワンシャッター部門とコンポジット部門に分けたことにより、それぞれの特徴をしっかり活かした作品が多くありました。そして、動画部門でも非常に素晴らしい作品が集まり、これからますます発展してゆく分野であることが確認できました。さらに、アンダー18部門でのみずみずしい感性にも触れる事ができました。更に、今回グランプリ賞がコンポジット部門から出たことも大きな特徴と言えるでしょう。このようにして選ばれた受賞作品は、いずれも、「宙を見上げる時の想い」を伝えるてくれる素晴らしい作品群であると自信を持て云うことができます。

北山輝泰氏による総評

 第3回「星空フォトコンテスト 〜それぞれの宙を見上げて〜」にご応募いただいた皆様、誠にありがとうございました。今回は初めての試みとして「ワンシャッター部門」「コンポジット部門」「U-18部門」「動画部門」と部門を設け募集しましたが、それぞれに熱い想いが込められた作品が揃い、とても見応えがありました。
 まず静止画3部門に関してですが、とても高いレベルの作品が多く、甲乙付け難いというのが第一印象でした。それと同時に「ここをもう少しこうすれば」という惜しい作品が例年よりも多かったのもまた印象的でした。レベルが高いと感じた要因は、ここ数年の間に星景・天体写真を作り上げていくための支援ソフトが多く出回るようになったこと。また、撮影・編集技術を動画サイトで気軽に学べるようになったことの2つが考えられます。この「高いレベルの作品」が増えていくことは、次の新たな作品が生まれる火種となるため、今回のフォトコンの審査をしながらも、次回のフォトコン開催がとても待ち遠しく思えました。一方、惜しい作品も多かった理由は、撮った作品をアウトプットする機会が少ないことが要因だと考えられます。作品を多くの方に見てもらい、様々な価値観に触れさせることは、新たな気づきを生むとても重要なチャンスですので、今回入選に至らなかった方は、批評を恐れずに世の中に作品を出すことをおすすめしたいです。
 また、星空・宇宙の作品表現は、今や静止画に収まっていません。タイムラプスや超高感度撮影で作り出す動画の世界は、静止画では伝えられない星空の動きや夜の空気感を表現できる手法であり、今後も益々盛り上がっていくジャンルであることは間違いないでしょう。今回新設した動画部門にご応募いただいた作品はどれも素晴らしいものばかりで、作者の労力を思うと感服するばかりでありますが、私が選ぶ上では「動画でしか伝えられない星空を表現できているもの」と「動画編集技術に優れているもの」という観点で選ばせていただきました。
 重ねてになりますが、今回作品をご応募いただいた皆様、ありがとうございました。そして、こちらの文章をお読みいただいた方の中で、皆様が見た星空の感動を誰かに伝えたいと思った時があれば、ぜひ写真や動画に残していただきフォトコンを通して私たちにお裾分けしていただけたら幸いです。

※画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。
※写真の情報は応募者にご記入いただいた内容を元に記載しています。

グランプリ「Sky Line」

お名前
佐々木 絢也さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2022年7月30日
撮影場所
福島県駱駝山
機種名
Nikon Z6
レンズ
Nikkor Z14-24/f2.8S

大西浩次氏によるコメント

暗闇の中を照らす光の一筋の線。その自動車のライトで照らされた緑の草木。赤茶けた火山と吾妻小富士の噴煙のようにたなびく低い雲。その向こうには、はるか遠く銀河系中心方向のバーデの窓(Baade's window)を通して見えるバルジの黄色い星たちと、その手前のいて座やさそり座を作る青白いOB星、さらに地球の大気の中の雲、そうして手前の火山の岩たち。非常にダイナミックな宙の動きを捕らえた作品です。今のカメラの階調では捕らえきれない明暗のダイナミックスと速い動きをうまく表現しており、コンポジットの良さが最大限に発揮されている作品です。若い作者のセンスに触れて、最初のひと目でグランプリと決めた作品です。

北山輝泰氏によるコメント

雄大な山岳風景の中に一筋の光跡が浮かび上がる、夜ならではの魅力的な光景です。そして、その光跡の先には、天の道である”天の川”が続いており、地上と空とが見事にバランス良くマッチしています。光跡を残すためには長秒露光か比較明合成が必要になりますが、星は線像になってしまいます。それでは主題である天の川の印象がボヤけてしまうため、コンポジットという手法を用いたのでしょう。星景写真の魅力がギュッと凝縮されたような作品ですが、明確な狙いがあったとしてもそれを作品に仕上げることができるかは作者の技術と努力が必要で、一筋縄ではいかなかったことと思います。それを見事に仕上げてきた作者の感性と技術力を評してグランプリとさせていただきました。

最優秀賞「Skyrium」

お名前
坪井 智洋さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年10月24日
撮影場所
北海道美瑛町セブンスターの木
機種名
SONY α7rIII
レンズ
SIGMA 35mmDGDN
絞り
1.4
シャッタースピード
8秒
ISO感度
3200

大西浩次氏によるコメント

小さい頃見上げた満天の星空を自分の子供に見せてあげたい、そのような父親になった作者の思いが素直に伝わってくる作品です。小高い丘の上の大きなカシワの木、子供を抱き上げる父親と子供のシルエットとその向こうに広がる晩秋の天の川、狙った写真でありながら素直に心安らぐ作品です。

最優秀賞「Beyond the Beyond」

お名前
霧生幻さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2022年2月13日
撮影場所
千葉県銚子市犬吠埼の白亜紀浅海堆積物
機種名
Nikon Z7
レンズ
Nikkor Z20mmF1.8S

北山輝泰氏によるコメント

白亜紀に海底で堆積した地層を見ることができる、全国的にも珍しい場所で撮影された一枚です。構図の1/3しか星空がない攻めた構図ですが、地上はパノラマ合成、星空は赤道儀を使った追尾撮影と全く異なる撮影方法で撮られたものを合成されています。しかしながら、まるで縦構図の一枚撮りで撮られたかのような自然さを感じるのは、作者の高い画像処理技術の賜物でしょう。素晴らしい技術力と表現力を評して、最優秀賞とさせていただきます。

最優秀賞「やまなしの木と冬のダイヤモンド」

お名前
府中 由惺さん
部門
アンダー18
撮影年月日
2022年1月5日
撮影場所
長野県南佐久郡南牧村板橋やまなしの木
機種名
Canon EOS RP
レンズ
SAMYANG 14mmF2.8ED AS IF UMC
絞り
2.8
シャッタースピード
20秒
ISO感度
6400

北山輝泰氏によるコメント

野辺山の有名な撮影スポット「やまなしの木」で撮影された一枚です。夜空にある無数の星の中には、夜空の宝石とも言える冬のダイヤモンドを構成する星々が写っていますが、やまなしの木と共に日の丸構図でまとめているため、とても安定感のある作品になっています。作者は16歳という大変お若い方ですが、撮影技術の高さや構図のセンスなど、大人顔負けの作品でとても感動しましたので、今回最優秀賞とさせていただきました。

最優秀賞「星に願いを 月に祈りを」

お名前
白山 健悦さん
部門
動画
撮影年月日
2020年2月7日
撮影場所
青森県内、岩手県内各所

大西浩次氏によるコメント

星空の写真の場合、得てして明暗の乏しい作品になることもあるが、この作品は月明かりと星明かり、そして太陽の明かり(薄明から太陽光)をうまく使って、影と光、陰と陽を非常にうまく表現しています。春の雪の壁に木々の影が伸びてゆく様子が、画面の外の月の存在感を示し、また、ラストシーン、「月明かりの空が、月没と共に星空が戻ると同時に始まった薄明で紅葉の森が浮かび上がり、日の光とともに真っ赤に燃える」シーンは、まさに動画でないと表現できない「宙を見上げる時の想い」を非常にうまく伝えていました。

優秀賞「クリスマスツリーに願いを」

お名前
福田 祐司さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2013年3月16日
撮影場所
北海道上川郡美瑛町クリスマスツリーの木
機種名
Canon EOS 5D mark III
レンズ
EF24mm F1.4L II USM
絞り
2
シャッタースピード
15秒
ISO感度
800

北山輝泰氏によるコメント

北海道を代表する有名な観光地である「クリスマスツリーの木」に向かって落ちる大火球を捉えた一枚です。一生に一度撮れるかどうかの大火球を見事に捉えた作者の強運もさることながら、月明かりに照らされる木の影や、雲の躍動的な動き、地平線へと沈んでいくオリオン座など、構図全体に散りばめられた要素が作品の良いアクセントになっています。額に入れていつまでも眺めていたくなるような美しい作品です。

優秀賞「廃墟ド-ム」

お名前
谷口 武行さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年10月1日
撮影場所
長崎県東彼杵郡川棚町川棚魚雷発射試験場跡
機種名
Canon 6D
レンズ
SIGMA 15mm 魚眼
絞り
2.8
シャッタースピード
30秒
ISO感度
3200

北山輝泰氏によるコメント

魚雷発射試験場の跡地で撮影されたお写真で、火星とオリオン座の輝きが際立つ一枚です。廃墟と聞くとどことなく怖いイメージがありますが、星々の明かりと共に映る廃墟は、怖さよりも探究心や冒険心をくすぐられます。写り方的に魚眼レンズで撮影したものと思われますが、星々の明かりが滲んで強調されているのは、後玉かセンサー前にシートフィルターを置いているためでしょうか。普通に写しては物足りない印象であったため、とてもプラスに働いています。ちょっとした手間が大事だと気づかせてくれる作品です。

優秀賞「夏の夜の夢」

お名前
浅井 明美さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年7月27日
撮影場所
北海道岩内郡共和町神仙沼
機種名
Canon EOS 6D HKIR改造
レンズ
TAMRON 15-30mmF2.8
絞り
2.8
シャッタースピード
13秒
ISO感度
12800

大西浩次氏によるコメント

睡蓮が広がる池(神仙沼)の水面に銀河系の中心方向の星たちが広がっています。霧が覆われた水面に広がる宇宙に、引き込まれるような魅力を感じる写真の1枚です。この写真を撮るために選んだ場所も構図のバランスも、そして霧が舞う一瞬を切り取るタイミングも揃い、大変幻想的な作品です。一方、霧や水蒸気いっぱいの大気を通すと、どうしてもクリアーな発色にならないことは致し方ないことですが、露出がややアンダーであることなどが、発色をマゼンタに寄ってしまった原因と思われます。しかしながら、このような一瞬を捉えるワンシャッターならではの優秀な作品です。

優秀賞「オリオンを見上げて」

お名前
石川 了輔さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年9月30日
撮影場所
群馬県毛無峠
機種名
Canon EOS 5D Mark IV
レンズ
TAMRON SP24-70
絞り
3.2
シャッタースピード
25秒
ISO感度
5000

大西浩次氏によるコメント

長野県と群馬県の県境の小串鉱山跡の朽ち果てた索道の向こうに広がるオリオン座です。左下に小さく写る作者の姿が、壮大な宇宙と鉱山跡の時間の止まった世界の対比をうまく表現しています。非常に印象的な作品ですが、作者はこの光景に何を感じていたのでしょう。タイトルをもう少しく工夫すると、撮影時の印象や写真に込めた想いがよりわかりやすくなるのではないかと思いながら作品を拝見しました。

優秀賞「妖精の森」

お名前
橋本 友さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2022年6月30日
撮影場所
島根県飯南町赤名湿地
機種名
SONY α7IV
レンズ
FE14mmF1.8GM
絞り
1.8
シャッタースピード
30秒
ISO感度
6400

北山輝泰氏によるコメント

通常の比較明合成作品だけではなく、横構図で撮った写真をパノラマ合成することで、森の奥行き感や空の広がりが最大限表現されています。深夜の森の中、安定しない木道の上という難しい撮影状況の中で、自分が作り上げたい作品のイメージを満たすために必要な撮影をすることは、簡単なようで難しいことです。きっと作者は計画し、撮影に臨んだことと思いますが、その計画力の高さと実行力の素晴らしさに敬意を表して優秀賞とさせていただきました。

優秀賞「本影の色」

お名前
土川 啓さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2022年11月8日
撮影場所
愛知県
機種名
Canon EOS 5D Mark III
シャッタースピード
1/800~2
ISO感度
400

大西浩次氏によるコメント

2022年11月8日の皆既月食は、皆既食の継続時間が長いことや宵の見やすい時間帯に起きたこと、更には、皆既食中の天王星の食が起きるという珍しい天体現象があったため、天文ファンのみならず、多くの方々が「宙を見上げた」天体現象となりました。今回のコンテストでも多数の応募作品がありました。これらの中で、皆既食中の色の変化を克明に記録したこの写真が特に素晴らいと感じました。皆既食の始まる前後のターコイズフリンジの青い色や皆既食中の赤い色などが大変カラフルに表現されています。これらの月食中の色は、地球の成層圏のダスト量や対流圏内の透明度などにより大きく変化します。毎回、月食の色や明るさを測ると地球大気のモニター観測にもなります。この美しい色とともに、地球の大気のことも考えてみると面白いですね。本影基準で比較明合成されていますが、背景には青い天王星なども写されています。それらをよく見るのも面白い作品です。

優秀賞「青森の山々から見える星空」

お名前
大久保 奈央さん
部門
動画
撮影年月日
2021年6月10日
撮影場所
青森の山々
機種名
SONY α7R II α7S α7R IV
レンズ
SEL24F14GM LAOWA15mmF2 SIGMA14mmF1.8
絞り
1.4~8
シャッタースピード
10~15秒
ISO感度
1600~6400

大西浩次氏によるコメント

青木山山頂の俯瞰から始まり、津軽平野の街明かりが雲海で覆われ、生き物のように動き回る様、その上に天空のリズムに乗って動く冬のオリオン、夏のサソリ、そして天の川。大気光や光柱などの珍しい大気現象と星空。冬の八甲田山のスノーモンスターの向こうの北天の星たち。そして、夏の八甲田山の上に懸かり西に傾く天の川。雲の多い空の中、動く雲の間から見える天の川。いずれにしても、動画でしか表現できない光景をしっかりと捕らえています。更に、カメラを動かしたり星を線にしたりとリズムカルに動かすテクニックも画面に緊張感を与えて、山から見る星たちを強調させています。星空に憧れている気持ちと、郷土の山を愛する心が素直に伝わる非常に素晴らしい動画作品です。

優秀賞「星の軌跡-STARRY TIMELAPSE-」

お名前
松本 一樹さん
部門
動画
撮影年月日
2021年12月8日
撮影場所
北海道各地
機種名
SONY α7III α7IV
レンズ
FE14mmF1.8 FE20mmF1.8

北山輝泰氏によるコメント

初めて視聴した時に、ヒーリング効果のあるBGMに美しい映像が順々に流れていたことでとても幸せな気持ちになったことを覚えています。北海道の大自然と美しい星空や雲海の映像は、まさにタイムラプスでしか表現できない世界観です。オリオン座や天の川といった有名な被写体以外にも、月明かりに照らされた風景をテーマにした素材もインサートしたりなど、飽きさせない工夫を感じます。何度でも繰り返し見たい美しい映像作品です。

入選「軌跡」

お名前
ほしたびさん
部門
コンポジット
撮影年月日
2021年7月4日
撮影場所
北海道苫小牧市樽前山
機種名
SONY α7III
レンズ
SIGMA 14mmF1.8DG HSM | Art

北山輝泰氏によるコメント

比較明コンポジットの代表的な作品といえば、北極星を入れた日周運動の写真ですが、線の太さを変えることで、特徴的な軌跡の作品に仕上げています。少しフォギーな風景が不思議な世界観を演出しているのも面白いと感じました。

入選「神秘的な夜」

お名前
脇村 和宏さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年11月8日
撮影場所
和歌山県和歌山市蓬莱岩
機種名
Canon EOS 5D Mark IV
レンズ
EF24-105mm f/4L SI II USM
絞り
4.5
シャッタースピード
1秒
ISO感度
3200

大西浩次氏によるコメント

日本遺産に指定されている和歌山市和歌の浦、その中でも大きく穴の空いた蓬莱岩は、古くからの伝説もあり、その夜の光景は古代を思わせる光景です。皆既月食の赤い月が大きく穴の空いた岩の上に輝いています。街灯の影響なのか、岩に当たる光とその影が非常に神秘的な光景を見せています。月食の印象を表現した素晴らしい作品です。

入選「太古の夜」

お名前
岸本 聡さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年6月5日
撮影場所
鹿児島県屋久島 大川の滝
機種名
Nikon Z7II
レンズ
SIGMA Art 14mm
絞り
1.8
シャッタースピード
20秒
ISO感度
3200

大西浩次氏によるコメント

屋久島の大川の滝の上部が月明かりで輝いている。水量豊かな滝の向こうに夏の天の川が昇ってくる。天の川から溢れた水が、山の上から降り注ぐ構図が大変素晴らしい。空を薄く覆う雲の流れが、水量の多い屋久島の空気感を伝えている。もう少し時間が遅いと天の川が雄大に見えてくる、しかし、月明かりがなくなり滝の流れが平坦に見えてくる、そんな微妙な一瞬をワンシャッターで捕らえた作品です。

入選「雪山の宙を彩る冬星座の軌跡」

お名前
杉山 忠徳さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2018年3月17日
撮影場所
長野県白馬村八方尾根
機種名
Canon EOS 6D
絞り
5.6
シャッタースピード
2661秒
ISO感度
100

大西浩次氏によるコメント

3月の八方尾根から、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、唐松岳と不帰嶮がつながる雪の北アルプスのラインに落ちる冬の星たちを長時間露光のワンシャッターで捕らえた作品です。丸山ケルンから唐松岳を目指す登山者のライト、そうして星たちの幾何学的な曲線が写真に緊張と調和を与えています。惜しむことに、春霞(PM2.5)のせいでしょうか、空の色の濁りが残念だと思いますが、逆に、春近い光景であることも暗示しています。悪条件でも、実に素晴らしいタイミングを撮りきった作品だと言えるでしょう。

入選「剣ヶ峰昇陽」

お名前
山口 芳明さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年7月11日
撮影場所
静岡県富士宮市佐折
機種名
Nikon D7100
レンズ
PENTAX 75SDHF 500MM(F6.7)
シャッタースピード
1/60秒
ISO感度
100

大西浩次氏によるコメント

富士山の最高峰、剣ヶ峰(3776m)にある富士山測候所の向こうに昇る巨大な黒点群(3055群)を焦点距離約3500mmの超拡大で捕らえた一瞬の光景です。太陽を全面でなく部分的に、しかも測候所と一緒に捕らえた構図は斬新です。ちょうど撮影日の2022年7月13日には巨大な黒点群があり、これらを狙った構想に感心します。太陽活動が上昇中のここ数年、大きな黒点がさらに出現するでしょう。いろんな想いで太陽を捉えるチャンスがこれからもあることでしょう。

入選「99万ドルの夜景に登る天の川」

お名前
徳富 豊さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2021年8月28日
撮影場所
熊本県上天草市龍ヶ岳大道ミューイ天文台
機種名
Canon EOS 6D2
レンズ
SIGMA 24mm f1.4 DG Art
絞り
1.8
シャッタースピード
8秒
ISO感度
2500

北山輝泰氏によるコメント

南中する天の川の存在が際立つ作品ですが、地上景色に目をやると等間隔に設置された街灯の明かりがまるでイルミネーションのように輝き、彩り美しい作品になっています。まさに星景写真の王道とも言える一枚でしょう。

入選「月蝕とスカイツリー」

お名前
関 善継さん
部門
コンポジット
撮影年月日
2022年11月8日
撮影場所
東京都台東区・スカイツリー
機種名
SONY α7R II
レンズ
Canon EF70-200/2.8L-195
絞り
4
シャッタースピード
1/40秒
ISO感度
10000

北山輝泰氏によるコメント

2022年11月8日に全国で見られた皆既月食を捉えたものです。皆既月食が始まる少し前から本影に入ることで月が暗くなっていく様子までが上手くまとめられています。東京の象徴的なランドマークであるスカイツリーの彩りもまた華やかです。

入選「星空と遊ぶ」

お名前
土谷 迅斗さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年2月28日
撮影場所
沖縄県小浜島
機種名
SONY α7III
レンズ
TAMRON 17-28
絞り
2.8
シャッタースピード
13秒
ISO感度
2500

北山輝泰氏によるコメント

露光不足の写真を現像されたのか、多少ノイズが目立つ作品になってはいますが、ロケーションの面白さと独特な作品のトーンに引き込まれました。左側の方があえて立つことで、静止画なのに今にも動き出しそうな不思議な世界観が生まれています。

入選「初めての天体さつえい」

お名前
中島 志帆さん
部門
アンダー18
撮影年月日
2022年11月8日
撮影場所
東京都小金井市東京学芸大学付近
機種名
iPhone

大西浩次氏によるコメント

初めての天体撮影が2022年の皆既月食だったのですね。実は私の初撮影もこの作者と同じ小学2年生のときの皆既月食でした。でも、今回は赤い色の皆既月食の月と共に、そのすぐ下の天王星もはっきりと写されているところがいいですね。皆既月食中の惑星食は、非常に珍しく、次回は2235年ですから、大変貴重な現象をうまく記録できたことを評価しました。ちなみにピントが甘いことは減点になるのですが、今回は、天王星の青い色を強調できていることもあり入選としました。

入選「彼方より」

お名前
小篠 利史さん
部門
ワンシャッター
撮影年月日
2022年5月3日
撮影場所
岐阜県恵那市
機種名
Nikon D750
レンズ
AF-S 85mm F1.8G
絞り
2.2
シャッタースピード
1/100秒
ISO感度
800

北山輝泰氏によるコメント

月を捉えた作品は数多くありましたが、中でもボケとシルエットがメインの想像力を掻き立てられる作品です。シルエットで写っているのはおそらく反射望遠鏡と人だと思いますが、月にピントは合わせつつも前景にテーマ性を感じるユニークな構図の作品です。

第3回「それぞれの宙を見上げて」星空フォトコンテスト2022
入賞作品の展示等のご案内

2月23日(木・祝)から開催される「カメラと写真映像のワールドプレミアムショー CP+2023」では、今回のフォトコンテストを振り返って、審査員の大西浩次さんと北山輝泰さんのお二人によるトークライブを予定しています(2月23日19時50分~生配信予定)。上位入賞作品を中心に、お二人に、作品に対するコメントや撮影アドバイスなどをお聞きする予定です。ぜひこちらもご覧ください。

『第3回 星空フォトコンテスト〜それぞれの宙を見上げて〜 作品審査を振り返って』
詳細はビクセンCP+セミナープログラムページ(https://www.vixen.co.jp/post/230215k/)をご覧ください。

東京都三鷹市にある「天文・科学情報スペース」、および、東京都千代田区にある「東京ガーデンテラス紀尾井町」の2箇所での展示会を予定しています。両展示会では、すべての入賞作品を展示する予定です。展示期間など詳細は、(ビクセンWebページ)にて後日告知いたします。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となる場合がございますので、予めご了承ください

このページをシェアする

アクティビティ一覧に戻る