ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
古[いにしえ]の人々が星空に思いを馳せて生み出した神話。
その思いは探究心を育み、今では人々の生み出した技術で星へ近づこうとしています。
今回はふたご座のお話。
ふたご座流星群のルーツにも迫ります。
カストールとポリュデウケース(ラテン語読みではポルックス)は双子の兄弟。兄のカストールは馬術の名手、弟ポリュデウケースはボクシングの名手で、数々の冒険や戦いに挑んでは手柄をたてていました。50人の勇士が乗り込み遠征したアルゴー船(※1)にも、ヘルクルスやオルペウスなどとともに乗船し、勝利を収めます。アルゴー船はとも(船尾)座、ほ(帆)座、らしんばん(羅針盤)座、りゅうこつ(竜骨)座を合わせた巨大船です。あるとき、カストールとポリュデウケースは女性をめぐるトラブルからメッセネー王アパレウスの息子、イーダースとリュンケウスの兄弟と争うことになります。その戦いでカストールは矢に射られ、死んでしまいますが、ポリュデウケースがイーダース・リュンケウス兄弟を倒し、ポリュデウケース1人が生き残ります。実はポリュデウケースは、兄と違って大神ゼウスの血を引き、不死身の体を持っていたのです。しかし、いつも共に生き、共に戦っていた兄を失ったポリュデウケースは悲しみに暮れ、ゼウスに「私も死んで、兄と一緒にいたい」と懇願します。ゼウスは兄弟愛に心打たれ、2人を星座にして空に上げました。
※神話には諸説あります。
※1...アルゴー船の物語も、神話の1つ。興味のある人は調べてみてね。
ふたご座の恒星カストルの近くに放射点があり、毎年12月中旬に流れ星を放つふたご座流星群。多くの流星群は、彗星が軌道上に撒き散らすちり[塵]が元になっています。ちりが地球の大気と激しくぶつかって光って見えるのです。しかしふたご座流星群はファエトン[Phaethon]という小惑星が出したちりが元になっています。そのファエトンも元々は彗星でしたが、もう揮発する物質がなくなってしまって「彗星・小惑星遷移[せんい]天体」と呼ばれる小惑星に変化したものと考えられていました。しかし2009年と2012年に明るさが増したことが観測されて、まだ活動している天体であることがわかり、その多くの謎を解くために、JAXA(宇宙航空研究開発機構)等が探査機を向かわせることにしました。それが「DESTINY+(デスティニープラス)」計画。2028年度にH3ロケットで打ち上げられる予定です。DESTINY+は低コストで頻繁に宇宙探査を行うため、小惑星に着陸せずにすぐそばを通過しながら探査を行う「フライバイ」という技術が使われることになっています。
※2024年10月時点の情報です。