ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
今冬は夜空を見上げると、火星と木星、そして全天一明るい恒星のシリウスが大きな三角形を描いています。
約2年2か月ごとに地球に近づく火星と、約1年1か月ごとに地球に近づく木星が同時に見られるチャンスです。
晴れた夜に、まずは肉眼で空全体を見渡してみよう。一番星の金星が沈んだ後、最も明るいのは木星(−2.8〜−2.4等)です。
12月ならだいたい22:00以降、1月なら19:30以降、2月は18:50以降であれば、火星も見えていて、木星と火星、おおいぬ座の1等星シリウスを結ぶと大きな三角形が描けます。
イラストAのようにシリウス−ベテルギウス−プロキオンを結んだ冬の大三角よりも、ひとまわり大きな三角形になります。
火星・木星・シリウスがみつかったら、色を比べてみてください。火星は赤(オレンジ)色、木星はベージュ、シリウスは青白く、星に色の違いがあることを肉眼でも感じることができます。
1月16日、火星が衝[しょう]となります。衝とは太陽−地球−惑星がこの順番で一直線に並ぶときで、その惑星を観察するのに最もオススメの時期。地球との距離が近く、ほぼ一晩中、空に昇っていて観察できる時間も長くなります。口径80mmぐらいの屈折式天体望遠鏡で高倍率(150倍ぐらい)にすれば、火星の表面の模様が見えるかもしれません。見え具合は大気の状態などによって変わるので、1度見てイマイチだったとしても別の日に何度か試してみましょう。火星の北極あたりには、北極冠[ほっきょくかん]と呼ばれる場所が白く輝いて見えるかもしれません。また大シュルティスという名前の黒っぽい部分もわかるかも。
木星の衝は12月8日です。天体望遠鏡の倍率が70倍くらいでも、2本のベルトのような縞模様が木星の赤道付近に見えます。木星の4大衛星であるガリレオ衛星も探してみましょう。縞模様の上空を周回するような位置にポツンポツンと見えるはずです。木星の向こう側に回り込んでいるときもあるので、いつも4つ見えるとは限りません。最も早い衛星は約1.8日で木星を1周、最も遅いものでも約16.7日で1周します。
火星は肉眼で見ても赤(オレンジ)色っぽいのがわかる惑星ですが、それは地面のほとんどが酸化鉄(赤さび)を含んだ岩石や砂で覆われているから。大きさは地球の半分ぐらいで、地球と同じように春夏秋冬のような季節の変化があります。北極・南極部分には、水や二酸化炭素の氷で覆われた極冠があり、地球と似ているところがありますが、火星の気温は夏が平均約−60℃、冬は平均約−120℃にもなります。
木星は太陽系の中で最も大きな惑星で、直径が地球の約11倍もあります。ガス惑星と言って、水素やヘリウムなどのガスが集まったもので、地球のような硬い地面がありません。さらに驚くのが自転の周期で、約10時間しかありません。地球は24時間ですから、それよりも2倍以上早い周期で地球の11倍ある大きな惑星が回っているのです。もし木星に人が立ったら、どのような光景が見えるのでしょうね。