ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
夜空を彩る、はるか何万光年彼方の星。
その美しさに劣らぬ魅力で今、注目を集めつつあるのが、わずか上空数百kmを行く人工衛星。
これらを自分の目で見る喜びは、星とはまた違うワクワク感があります。
今回は新たな星、人工衛星を見てみましょう。
衛星は、地球など惑星の周りを回っている天体のこと。では人工衛星は? 人間がロケットなどで打ち上げて、地球の周りを周回させている物体のことで、古くは1950年代から存在します。気象衛星ひまわりをはじめ、位置を示すGPS衛星、BS放送などを送信する放送衛星など、生活のいたるところで活躍しています。
現在、稼働している人工衛星だけでも約8,500基ありますが、中でも一部の天体ファンを沸かせているのがISS(国際宇宙ステーション)とスターリンク衛星。画像に収めたり、双眼鏡でのぞいてみたりと、“人工の天体”として脚光を浴びています。
人工衛星は月と同じく、自分からは光を発していません。太陽光が当たることによって私たちに見えてきます。それなので
① 地球上の観察地点が暗い(=夜である)
② 見たい人工衛星には太陽光が当たっている
この2つの条件を同時に満たしている必要があり(図B)、日没後と日の出前の2時間以内くらいに見ることができます。それ以外に
● 観察地点の上空が晴れている(雲の方が高度が低いので、曇っていたら見えにくい)
● ちょうど観察地点の上空付近(空を見上げて見えている範囲)を人工衛星が通過する
という条件も必要です。最も明るいときは−3等級(ISSの場合)ぐらいまでになりますが、天体よりもずっと早く移動しているので、肉眼や双眼鏡での観察がオススメです。
現在、稼働している人工衛星のうち、約5,000基はスターリンク衛星。米・スペースX社が運用していて、数年内にその数は4万数千基になる予定です。スターリンクは、ロケット1機に十数基の衛星を搭載して打ち上げ、地上から300kmぐらいまでいくと分離され、十数基が列車のように連なって上空を飛んでいます。この姿は夜空を駆ける銀河鉄道のようで、なかなかエモーショナルな光景です(ページ上の画像)。高度約550kmの運用軌道に乗るまで10日〜2週間ほどかかり、その間、衛星同士の距離が少しずつ長くなっていくので、先頭から最後尾までの長さも長くなっていきます。スターリンクは運用軌道に乗ってしまうと肉眼ではわからないほど暗くなるので、打ち上げが続くここ数年で見納めになるかもしれません。WEBサイトやSNSで「スターリンク」を検索すると、いつ、どこを通過するか、すぐにわかるので、ぜひチェックしてみてください。
ISS(国際宇宙ステーション)はすでに上空約400kmの運用軌道を周回している、最大の人工衛星。サッカーコートほどの大きさがあり、最高で−3等級ぐらいまで明るくなります。夜空で見るイメージとしては、木星クラスの星がスーッと移動して行って、宇宙にできた地球の影に入るとフェイドアウトして見えなくなる感じ。天文上級者の中には、天体望遠鏡を使って撮影して、ISSの形がどこまでわかるかにチャレンジしているそうですが、一般的には肉眼か双眼鏡で見るのがオススメです。こちらは「#きぼうを見よう」というWEBサイトで、観察地を選択すると見える日時、仰角、方位などを詳しく知ることができます。
星空を見るために作られた双眼鏡。2.1倍と低倍率で、星空の広い範囲を見渡すことができます。レンズにはフーリーマルチコートが施されていて、視界が鮮明で、星の微妙な色の違いも感じやすくなっています。
倍率:2.1倍
対物レンズ有効径:42mm
サイズ:46×128×54mm
重さ:410g