Vixen の科学情報誌 So-TEN-Ken(ソウテンケン) WEB版

流星群の空に双眼鏡を向けてみる

流れ星は肉眼で、できるだけ広い範囲を見る。
...は、言わずと知れた流れ星の観察方法ですが、実は双眼鏡を使って観察するという、ツウな手段があるのです。
それにはちょっとしたコツが...。

画像:ペルセウス座流星群の出現の様子

<ペルセウス座流星群の出現の様子> 流星の経路は放射点に近いほど短くなる。比較明合成。撮影:©井川俊彦(2016.8.13)

流星群を見るのにオススメの双眼鏡は?

双眼鏡は肉眼よりもはるかに光を集める力が高いので、それほど明るくない流れ星でも、うわっと声をあげてしまうほど感動的です。肉眼では気づかない流れ星でも、双眼鏡で視野に入っていれば流れたことがわかることもあります。とはいえ、双眼鏡で流れ星を見るというのは高度なワザ。使う双眼鏡も何でも良いわけではなく、できれば次のようなスペックの物を選んでください。

● 倍率:8倍以下
● 視界:できるだけ広視界(実視界6°以上)
● 対物レンズ有効径:42mm以内

※レンズ径は大き過ぎると重くなるので、長時間見るにはしんどい。手持ちではなく三脚を使うなら、42mmより大きくてもOK。

画像:火球出現後の流星痕

<火球出現後の流星痕>
視野8°。撮影:©井川俊彦

画像:ペルセウス座の二重星団

<火球の近くにはペルセウス座の二重星団>
実視界12.5°でのイメージ。

どの方向を見れば良い?

流れ星は、放射点(※1)から全天、四方八方に飛び出ていくので、肉眼で観察するときはどの方向を見ても見られる確率はほとんど変わりません。ですが双眼鏡で見る場合は、放射点に近いところを観察する方が、流れ星の光の筋が短めになるのでオススメです。双眼鏡で見えている範囲でとらえられる確率が上がるからです。ペルセウス座流星群の場合は、放射点はペルセウス座にあります。TENページの丸い星図で、位置を確認しておきましょう。
あとは双眼鏡で星空を眺めて流れ星が通ってくれるのを待つだけですが、長時間待っていても疲れないように、寝そべって双眼鏡を持つ腕を支えるなどして、できるだけ楽な姿勢をとりましょう。双眼鏡によってはカメラ用三脚に取り付けられるものもあるので、三脚を使うのもオススメです。

※1...地球から見ると、流れ星の出発点に見える位置。

流星痕を探してみよう!

流星群ではたまに火球と呼ばれる、とびきり明るい流れ星が出現することがあり、ペルセウス座流星群でもよく火球が見られます。さらに火球が出現したあとに、流星痕と呼ばれる煙のような痕跡が夜空に漂うことも。見た感じとしては、火球を飛行機に例えると、流星痕は飛行機雲のようなものです(※2)。流星痕は数秒で消えてしまう短痕と、数分から数十分以上も残る永続痕があります。永続痕であれば肉眼で火球に気づいて、それから双眼鏡を向けても、時間とともに上層大気の流れにより形を変え広がっていく様子を観察できるかもしれません。ただし、ピント合わせは事前にやっておいて、すぐに構えられるようにスタンバイしておきましょう。

※2...流星痕は上層大気で流星物質が蒸発した塵粒と、大気成分のプラズマ化したガスによるものが「発光分子雲」として見えるもの。構成要素は飛行機雲とは違います。

おすすめ

画像:SG2.1×42H

星空観察用双眼鏡 SG2.1×42H

● 倍率:2.1倍
● 対物レンズ有効径:42mm
● サイズ:46×128×54mm
● 重さ:410g
星空を見るために設計された双眼鏡。2.1倍と低倍率で、星空を広くとらえることができるので、星座の形をたどったり、流星痕を見たりするのに適しています。低倍率なので手ブレの影響が少なく、流れ星を待って長時間、星空を見続けるのにぴったり。またレンズにはフーリーマルチコーティングが施されていて、星の微妙な色の違いも感じやすくなっています。

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