単眼鏡で広がる西洋版画鑑賞の世界

西洋版画も面白い!

西洋版画

油彩画はじっくり立ち止まって鑑賞するのに、版画に関してはチラ見、もしくは、さらっと素通りする。そんな光景を、西洋美術の展覧会でよく見かけます。もし、版画に油彩画ほどの魅力を感じていないのだとすれば、それは肉眼で鑑賞していることに原因があるのかもしれません。世界でも数少ない版画専門の美術館として知られる町田市立国際版画美術館では、鑑賞者にルーペを無料で貸し出しています。そう、版画は全体だけでなく細部も楽しむ美術作品。ルーペか単眼鏡はマストアイテムなのです。


西洋版画

さて、一口に版画と言っても、その技法はさまざま。すべての版画作品に単眼鏡が必要になってくるというわけではありません。特に必要となるのが、銅版画です。 銅版画には、主に3つの技法があります。まずは、ドライポイント。「ポイント」という金属の針で銅に彫る技法です。彫った線がささくれ立ち、線の回りに「バー」と呼ばれる金属の「まくれ」ができます。インクを詰めてふき取ると、「まくれ」にインクが引っ掛かり、滲んだような味のある線ができるのが特徴です。続いては、エングレービング。ドライポイントと同じく銅版に直接彫る技法なのですが、断面が鋭い三角形のビュランという刀のような工具を用いるため、「まくれ」は出来ません。ビュランを使うととてもシャープな線が彫れるので、メリハリのある画面を生み出すことができます。


西洋版画

最後は、エッチング。はじめに、銅の表面に「グランド」という防蝕膜を塗ります。その上から鉄筆でひっかくと、グランドは剝がれ、線の部分だけ銅の表面が露出します。そのようにして描いた版を、銅に対して腐蝕作用のある薬品の中に入れます。すると、線の部分だけが腐食していき、溝が出来ます。腐食の時間により、溝の深さが変わるので、線の強弱を表現できるのです。 同じ銅版画でも、技法によって線の表情が全く異なります。その深遠な世界を是非単眼鏡で見比べてみてください。


美しき漆黒の版画

西洋版画

銅版画の技法で、もう一つ忘れてはならないのが、メゾチント。深く美しい黒い素地が特徴的な技法です(上で紹介した3つの技法は、基本的に素地は白)。僕ら日本人に最も馴染み深い木版画と違って、銅版画は彫った線が黒になります。ということは、メゾチントの黒い素地はどうやって作られているのでしょう? 実は、ベルソー(英語ではロッカー)と呼ばれる道具で、銅版にひたすら点々を打っています。銅板全体にびっしりと「まくれ」を作ることで、そこに黒いインクが細かいドットのように詰まる仕組みです。むらがないように「まくれ」を作らないと、綺麗な黒の地にはなりません。


西洋版画

素地を作るだけでも一苦労です。そうして全面に「まくれ」ができた銅板を、今度は削り取っていきます。そうすることで、その部分は黒いインクが乗らず、白くなります。この作業を繰り返し、絵柄を完成させます。 たかが黒。されど黒。時にビロードに譬えられるメゾチントの深い黒。単眼鏡で覗き込めば、その深遠な世界に吸い込まれてしまうこと必至です。


素描も忘れずに。

西洋版画

版画以上に日本で人気がイマイチなのが、素描。素っ気なく、質素な絵というイメージを抱いている人も多いでしょうが、素描は決して単なる下書きではありません。むしろ西洋では、素描を鑑賞するのがポピュラー。本画と同じくらいに人気があります。特にルネサンス期には、「〈自然〉を母として、〈素描〉を父とすると、〈建築〉〈彫刻〉〈絵画〉の3姉妹がいる」と、とても重要視されていたほどです。


西洋版画

特にルネサンス期の素描は、描き直しが出来ない金属尖筆(棒状の金属の先端を尖らせたもの)で描かれていることが多く、線に緊張感が見て取れます。


ビクセンの単眼鏡

美術館によりますが、版画はケースではなく、そのまま壁に展示されていることが多いので、4倍で十分に近づいて観ることができます。

  • アートスコープ H4×12

    アートスコープ H4×12

    実視界11.5度。適度に広い範囲を同時に見渡すことができる倍率であるため、多少の手ブレが起きても観察対象が視野から外れにくく、初心者でも楽に観察できます。
    また適度に拡大されるため、肉眼では観察できない美術品の細部までを鑑賞できます。日本製

  • マルチモノキュラー 4×12

    マルチモノキュラー 4×12

    メガネをかけたままでも使いやすいハイアイポイント設計です。しかも約20cmの近距離から焦点が合わせられ、かつ9.0の明るさを実現!日本製

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