SDレデューサーHDキット開発者座談会

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2017.09.05

今回は、新発売となりました「SDシリーズ鏡筒」と「SDレデューサーHDキット」の開発に至った経緯からその性能までを、開発に携わった研究開発部の傳甫と、天体写真家としても活動している営業部の成澤、また個人でも約40本もの鏡筒をコレクションしている天文機材マニアでもある、鏡筒の生産担当・開発生産事業部の平井、の3名が集まり語ってもらいました。

まず、「SDレデューサーHDキット」の開発に至るまでを教えてください

傳甫:開発の背景となった一番の理由は、天体を「見る」ことに加え「撮る」ことにも対しても天体望遠鏡に高い性能を求めるユーザーの声が多くなってきた点が挙げられます。もともと天体望遠鏡は目で覗いて観察するものでしたが、カメラの普及やデジタル化によって誰でも簡単に写真を楽しめるようになり、天体をクローズアップする望遠レンズのように使われる場面が増えてきています。特に最近はSNSに天体写真を上げる方が多くなり、写真に求めるクオリティが高くなってきました。

成澤:私は販売店などで天体写真セミナーを行うこともあるのですが、ユーザーさんと直接お話ししていると、写真に対する興味や要求レベルが非常に高まっているのを感じます。望遠撮影というとカメラレンズをまず使用される方も多いのですが、天体望遠鏡ならではのメリットというのもあります。例えば、オートフォーカスや手振れ補正など、レンズを動かす機構がないので星像がきれいな真円になること、レンズ枚数が少ないので透過率が高くなり露出時間が少なくて済むこと、また、周辺減光が比較的少ないので画像処理がやりやすいことなどです。こういった点から天体望遠鏡をお勧めすることもあります。

傳甫:そうですね。ビクセンの旧ED鏡筒は眼視性能には定評がありましたが、レデューサーを装着して写真を撮った場合の周辺像や周辺減光に関しては十分とはいえない面もありました。そこでフルサイズデジタルカメラでの撮影に対応した、「SDレデューサーHDキット」と「SD鏡筒」を開発することにしました。

設計や生産上にこだわったポイントは何でしょうか

傳甫: 周辺像と周辺減光です。この2点は特に写真撮影される方にとっては重要なポイントです。デジタルだと簡単に拡大できてしまうので、周辺部でもきれいな点像になることが要求されます。また旧ED鏡筒だと眼視用に絞りが設計されている関係でフルサイズ周辺部の光量が不足していました。そこで鏡筒とレデューサーをセットで使っても絞りなどで光が遮られないように、ドローチューブ内の光線のシミュレーションを何度も行い最適化しました。

平井: このレデューサーの大きな特徴は、組み合わせ方によっていろいろな鏡筒に対応している点、さらに、レデューサーとフラットナーの2種類の焦点距離で使うことができるという点だと思います。鏡筒ごとの専用設計にしてもっとF値を小さくするといった選択肢もあったと思うんですが、このような設計を採用したのはどうしてなんでしょうか?

傳甫:確かに専用設計にすればもっとF値の小さいレデューサーにできたのですが、それでも0.75倍とか0.7倍くらいが限度でそこまで極端に明るくできるわけではないんです。それよりもレデューサーとフラットナーの2通りの使い方ができることで、大きく広がった星雲や星団はレデューサーを使い、見かけのサイズの小さい球状星団や系外銀河などはフラットナーで撮影するといった使い分けができる方がユーザーにとってはメリットが大きいと考えています。

平井: なるほど。それに将来違う鏡筒を使うようになったとしても、「SDレデューサーHDキット」はそのまま使い続けることができるという点もありますよね。それに今回昔のFL80S鏡筒でも使用してみたのですが、やはり優秀な結果が得られました。F7.7前後の鏡筒であれば適合はある程度期待できるのでしょうか?

傳甫: 公式に性能を保証できるものではありませんが、可能性はあると思います。WEBサイトの製品ページには、ビクセンの過去の鏡筒で一定の効果が得られると考えられるものについてはスポットダイアグラムを掲載していますので、そちらも参考にしていただければと思います。

平井: 個人的にはFL鏡筒がデジタル対応として生まれ変わるのであればとてもうれしいですね。星より機材好きな人間としては、いろいろな鏡筒と組み合わせて試してみたくなってしまいます(笑)

成澤: 平井さんと撮影に行くと毎回何かしらのテストをしてますもんね(笑)

設計上、苦労した点はありますか?

傳甫: 部品をいかに少なくするか、その中でいかに精度をだすか、ということですね。レンズを増やせば性能は良くなるのですが、コストもどんどん上がってしまいます。ユーザーさんに手に取っていただける価格というのも重要なポイントですので、性能を落とすことなく、レンズを含めた部品点数をできるだけ少なくするという点には神経を使いました。部品点数が少なければそれだけ加工や組み立て誤差の影響も少なくなりますからね。それにレンズの偏芯がないように検査工程を入れたり、内面反射防止のためにレンズのコバ(ふち)を黒く塗ったりと、シビアな要求にもこたえられるような作りになっています。

平井: ネジ部分のガタも少なくて、この部分で偏芯が起きないようになっていますね。余談ですが鏡筒のレンズセルや接眼部のネジ込み方を変えるとわずかですが光軸がずれます。なのでむやみに分解しない方がいいんですよ。

「SDレデューサーHDキット」を実際に使ってみた感想はいかがですか?

成澤: フルサイズでも周辺減光が少ないので画像処理が楽でしたね。それに画面全体の像が均一なので気持ちがいいというか、とにかく写真を撮っていて楽しかったです。このレデューサーを使っていろいろな天体を撮り直したいですね。

平井: それから地味に便利だと思ったのが、レデューサーとフラットナーでリング類の組み合わせは違うのですが、どの組み合わせでもドローチューブの繰り出し量はほとんど同じというところです。少し古いカメラを使っているので背面液晶で星が見づらいのですが、レンズの構成を変えてもだいたいピントが合っており微調整で済むので、撮影の効率が高かったですね。

どのような方に使用していただきたいですか

傳甫: やはり初めて望遠鏡に触って、撮影してみたいなと思われている方ですね。今すでに撮影しているけれども、さらに表現の幅を広げていきたいという方にも満足していただける製品だと思っています。

平井: それから昔のFL鏡筒やED鏡筒でも使ってみていただきたいですね。以前天文をやっていたけれどブランクがあった方が、この「SDレデューサーHDキット」を使って天体撮影に復活するというのもきっと楽しいと思いますよ。

成澤: 私はカメラユーザーで天体撮影に興味を持った方が、天体望遠鏡で撮影をするきっかけになればいいなと思っています。それからやはり女性ですね。店頭にみえるお客様や、天文同好会でも女性が増えている印象があります。カメラの進歩で写真が撮りやすくなっているので、写真を入り口に、星を見る楽しみを知っていただきたいです。

傳甫: そうですね。あとは機材などのハード面は市場全体として充実してきているので、それを使いこなすノウハウだとか、星の楽しみ方だとか、そういったソフト面をこれから充実させていけたらいいなと思っています。そうすれば星を見る人ももっと増えていくんじゃないでしょうか。

まとめ

「SDレデューサーHDキット」は、レデューサーとしてもフラットナーとしても使うことができ、天体望遠鏡を使用して高画質な天体写真を撮影するには欠かせないものといってよいでしょう。さらにSDシリーズやEDシリーズなど幅広い機種に対応しているのもメリットです。

天体の直焦撮影の際にも、今回のレデューサーキットを使用すれば今までよりぐっとシャープな星雲・星団の写真が撮れます。

今年の夏は晴れの日が少なかったですが、秋から冬にはアンドロメダ銀河やプレヤデス星団など写真写りのよい天体がたくさん現れます。SDレデューサーHDキットを使用して、そのような天体の撮影にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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